東京のペット共生賃貸住宅事情
- 東京23区内において「ペット可」な賃貸住宅は全物件の約15％程度を占めている
- 「ペット可」の賃貸住宅が少ない理由として、ペットが原因によって引き起こされるトラブルをオーナーが危惧している
- 「ペット可」の賃貸住宅は、通常の賃貸物件を「ペット可」に条件緩和したものだが、「ペット共生型物件」「ペット同居型マンション」は入居者がペットと暮らすことを前提に設計された物件のことを指す
- 賃貸物件を「ペット可」にすることはオーナーにとっても大きなメリットとなり、空き家を減らすことに繋がる アットホーム調べの結果（2021年3月時点）より。
なお、東京２３区では、229,392件の物件があります。
その内ペット飼育可能物件の数は、『34,354件』です。
ちなみに物件検索の条件は下記の通り
- ペット飼育相談可
- 一般的な間取り
- 最寄り駅『徒歩10分』以内
コロナの影響もあってペット飼育の需要はさらに増えていると言われています。
そうした事情も考えると、ペット可物件の15パーセントという数字はペット飼育の需要に追い付いていないとも考えられます。
稀少価値の高い【 ペット飼育可能物件 】ですが、区によってもその割合に差があります。
東京23区 ペット飼育可能物件の割合
中央区が東京２３区内でペットの住まいという観点では最もペットフレンドリーな街で31.5％。一方、江戸川区は２３区の中でも家賃相場が安く、ファミリー世帯も数多く居住している区のはずですが3.8％と一番低い。江戸川区は葛西臨海公園などのペット同伴可能な大型公園やドッグカフェも結構ある街なのですが、意外な結果に驚きます。
【20パーセント台】
江東区、千代田区、墨田区、港区、台東区の5区です。
【10パーセント台】
新宿区、目黒区、品川区、文京区、大田区、渋谷区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区の計11区です。
【10パーセント以下】
世田谷区、中野区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区の6区という結果でした。
ペット飼育可能な賃貸物件は家賃相場も上がります
ペット飼育可能な賃貸物件は周辺のペット飼育不可の同レベルの物件に比べて、家賃が割高なケースがほとんどです。それはペット飼育可能な賃貸物件自体が稀少価値を持っていること、ペット飼育可能な物件はそうで得ない物件に比べリスク（近隣トラブル、清掃、原状回復など）が上がるからだと言われています。特に都心のワンルームなどであれば、2～4年で転居することが一般的なので、ペット飼育可能な条件を付けると入居期間が増して現状回復などのリスクが上がると考えられます。そのため、ペット飼育可能な賃貸物件は周辺家賃相場よりも高い金額設定になる傾向があります。
また敷金も通常よりもプラス1ヶ月、猫であれば2ヶ月分収めるという条件になっていることもザラです。これはオーナーの側面から考えれば、退去リスクが低く安定的に長期入居される方が多いとも言え、リスクを加味したうえでの家賃設定をしておけば安定した賃貸経営ができるとも考えられます。
最近の新築マンションはペット飼育可能な条件である物件も増えてきましたが、ペット愛好家の需要を完璧に捉えられているとは言えません。
以上の具体的なデータを見ると、普通に賃貸物件を借りると選択肢が100件あるのに対し、ペット飼育可能という条件がつくと一気に15件まで候補が落ちる事が分かります。
東京は良い物件は本当に即借り手が決まると言われますが、愛犬や愛猫と引っ越しをする場合にはかなり時間を掛けて探すことになると思われます。本来であれば築年数や風呂・トイレ別、オートロックや2階以上、などの条件が優先され更にペット可が加わるわけです。
条件が加われば加わるほど物件探しの難易度が上がるため、100件に1件しか希望物件が見つからないということが容易に起きるため東京でのペット共生による転居はかなり計画的に進める必要があるのが実態です。
