国の天然記念物!? 奥深い「日本犬」の正体!
地犬や日本由来のワンちゃんも紹介します!
はじめに~日本犬とは~
日本犬とは、古くから日本に住んでいる犬の種類の総称です。おそらく日本犬と聞いたら、「柴犬」や「秋田犬」がぱっと思い浮かぶのではないのでしょうか。実は、文部科学省から日本犬は国の天然記念物として指定されており、「公益社団法人 日本犬保存会」が日本犬の保存に取り組んでいます。
今回は、その天然記念物に指定された6種類の日本犬を中心に、地犬や、外来種と交配した日本原産の犬種等、日本の犬の種類についてまとめてみました。
日本犬の種類
まず初めに、国の天然記念物に指定されている6種の日本犬をご紹介します。
1.柴犬(小型)
まさに日本犬の代表である柴犬!
海外でも、”Shiba”や”Shibainu”と呼ばれ、ファンも多い犬種です。一説によると、縄文時代から日本社会で人間と共に暮らしていたそう。頭が良く、飼い主の気持ちを汲み取ってくれる従順な性格が、古来から令和まで日本人の心の支えになっているのかもしれませんね。主な毛色は赤毛、黒毛、胡麻毛。その中でも赤毛が多く、全体の80%を占めているそうです。
2.紀州犬(中型)
現在の和歌山県、三重県付近の山岳地帯で生まれた紀州犬。もともとはウサギやタヌキ、鹿、イノシシを狩る狩猟犬でした。かつてはその土地によって、「那智犬」、「太地犬」、「熊野犬」、「奥吉野犬」とも呼ばれていたそうですが、現在では「紀州犬」として統一されています。静かで落ち着いた性格ですが、真面目な性格も兼ね備えた犬種です。シュっとした体形の他の日本犬よりも、少しがっちりした感じの犬が多いそうです。主な毛色は白毛で、他には赤毛や胡麻毛が少数います。
3.四国犬(中型)
「土佐犬」としても知られる四国犬は、高知県を中心に、四国山脈の山間部で暮らしていた犬種です。「ヤマイヌ」という野犬にルーツがあるとも言われ、素朴さとともに、日本狼と間違われることもある野性的な気迫も兼ね備えています。飼い主には忠実ですが、闘争心が強いため、あまりペット向きではないとされています。しかし、隙の無い様子、精悍な風貌、素早い動きに魅力を感じる人も多いそうです。毛色は、胡麻毛が最も多く、赤毛や黒毛も少しいます。
4.北海道犬(中型)
別名「アイヌ犬」とも呼ばれる北海道犬は、北海道で狩猟をするために飼われていた犬です。実は、あの「お父さん犬」で有名な某CMに出ているワンちゃんも北海道犬。柴犬に似ており、間違われることも多いそうですが、さすが北海道出身なだけあり、寒さに強く、持久力があるのが特徴です。
他の日本犬と同じく、飼い主への忠誠心が強く、愛情深い性格をしています。また、狩猟犬として飼われていたことから、勇敢さと警戒心も併せ持っています。毛色は、日本犬の中ではバリエーションが豊富で、赤毛、白毛、黒毛、胡麻毛など様々です。
5.甲斐犬(中型)
南アルプスの周辺の山岳地域で、カモシカやイノシシを狩りを行う狩猟犬です。今でも狩猟犬として働いている犬も存在するそうで、猟犬としての特徴が非常に色濃く受け継がれています。そのため足腰の筋肉が発達しており、柴犬よりも一回り大きめのサイズ感のものが多いです。甲斐犬は虎毛が基本なので、「甲斐虎犬」とも言われています。毛の色の濃淡で、黒虎毛、中虎毛、赤虎毛と区分されているそうです。
※紀州犬から甲斐犬までの4種は特に絶滅の恐れがある日本犬です。
6.秋田犬(大型)
日本犬の中で唯一の大型犬がこの「秋田犬」。あまり広く知られてはいませんが、あの「忠犬ハチ公」も、ブサかわ犬で人気を博して先日亡くなってしまった「わさお」も、ロシアのオリンピック金メダリストのザギトワ選手が一目ぼれして、贈られたことで話題になった「マサル」も、全て秋田犬です。
奥羽山脈一帯で、クマの狩猟犬として飼われてきたこともあり、身体が大きく、保守的で警戒心が強い性格です。その一方で、忠犬ハチ公からも分かる通り、飼い主に対してとても従順でもあります。日本での登録数が年々少なくなっている貴重な犬種です。
地域特有の犬「地犬」(じいぬ)
かつて日本には、特定の地域のみに生息する「地犬(じいぬ)」と呼ばれる日本犬が多く存在していました。今でも、その固有の特色を持っている犬が少数ながら存在しており、地域ごとに保存活動が続けられていたり、県の天然記念物に指定されている犬種もいたりします。
(赤毛が特徴的な美濃柴犬!)
- 岩手犬(岩手県)
- 十石犬(群馬県、長野県)
- 川上犬(長野県)
- 美濃柴犬(岐阜県)
- 三河犬(愛知県)
- 山陰柴犬(鳥取県、島根県)
- 肥後狼犬(熊本県)
- 薩摩犬(鹿児島)
- 琉球犬(沖縄県)
- 大東犬(沖縄県) ‥等
(毛が短めなことが特徴な琉球犬!)
外来犬と交配して作られた日本原産の犬種
この他にも、日本犬と外来の犬種を交配して作られた犬種もあります。
(顔と体のカラーが異なる超短毛の希少犬!日本テリア)
- 狆(ちん)
- 土佐闘犬
- 日本テリア
- 日本スピッツ
- アメリカンアキタ ‥等
(超大型犬のアメリカンアキタ!)
まとめ
今回は、日本犬についてまとめてみました。
柴犬や秋田犬といった6種は、基本的に飼い主に忠実で賢いことが特徴です。他の地犬や外来種と交配してできた犬種も、育ってきた環境によって、それぞれ異なる特徴があり、面白いですよね。戦後、日本にはたくさんの外来種のワンちゃんがやってきたため、純血の日本犬や地犬を見つけることがだんだんと難しくなってきています。日本の良さを守りつつ、様々な犬種のワンちゃんと一緒に暮らせるような社会になるといいですね。
《参考文献》
公益社団法人 日本犬保存会
pepy
わんちゃんホンポ