災害が発生したらどうしたらいい?
ペットと自分のために準備できる防災対策!
はじめに
地震、津波、台風、豪雨、洪水、土砂崩れ、火山噴火、、、
日本は、世界有数の災害大国です。
2020年の九州豪雨では、被災地に取り残されたペットの救出に向かったら、ペットだけでなく孤立してしまった住民の発見に繋がるというニュースもありました。
万が一「自分の地域で大規模な災害が発生したら…」と考えると、自分の事ばかりでなく、ペットと一緒に助かる方法を考えなくてはいけません。
今回は、日頃から準備することができる、飼い主とペットのための防災対策と心構えについてまとめました。
過去の事例
「ペットの防災」という考えは、かなり新しく、2011年の東日本大震災を契機に多くの自治体で検討・体制の整備がされるようになりました。
まずは、東日本大震災やその他の災害において、どのような事例が報告されたのか、見てみましょう。
- 家に取り残されたペットが野良犬・野良猫状態に。近隣住民に危害をもたらす恐れがあった
- 不妊治療や去勢がされないまま放置され、犬や猫が繁殖し、生態系や野生生物に影響を与える恐れが生じた
- 家屋の倒壊や倒れた家具により、人もペットも怪我を負うケースや、死亡したケースがあった
- ペットの受入れ可能な避難所がどこにあるのかわからなかった
- ペットを置いて避難し、その後の対応に苦慮した
- 動物が苦手な人や動物アレルギーの方などとの避難生活を送る中で、ペットの取扱いに苦労した。やむを得ず車中避難となったケースや、ペットの糞の放置や毛の飛散等が原因で、他の避難者とトラブルが発生するケースもあった
- ペットフードの支援はなかった。また、特定食(治療食等)の入手に苦労した
- 救援物資のペットフードを食べなくて困った
- 犬がケージになれておらず、過度なストレスを与えてしまった
- 犬がペットシーツに排尿、排便せず、苦労した
- 他人や他の場所、他の動物に慣れないため、どこにも預けることができず苦労した
- 感染症の予防接種をしていないペットが多くいたので感染が心配だった
心構え&準備
では、本題のペットの防災における「心構え&準備」についてお話します。
自助・同行避難
「自助」と「同行避難」は、災害時にペットも飼い主自身の命も守るための大切なコンセプトです。
自助とは、自分とペットの身は自分で守るという考え方です。
大規模な災害では、行政等の公的機関の支援を待たずに自力で生き延び、近隣住民同士で助け合わなくてはなりません。そのため、自分で何とかできるだけの準備が必要です。
「同行避難」とは、飼い主がペットと避難行動を共にすることです。
※避難所でペットと同室で飼育管理することを意味するものではありません。
同行避難は、動物愛護の観点のみならず、飼い主である被災者の心のケアの観点からも重要と考えられています。
しかし、災害発生時に飼い主がペットと一緒にいるとは限らないことや、やむを得ずペットを自宅に残して避難せざるを得ない状況もあること、不測の事態により、ペットとはぐれてしまうケースなどがあることも想定しておく必要があります。
次に、事前に準備できることを項目ごとに分けてご紹介します。
ペットのしつけ・健康管理編
- 基本的なしつけを行う(「待て」「おいで」「お座り」「伏せ」、決められた場所での排泄、不必要に吠えない等)
- ケージやキャリーバックに入ることに慣らしておく
- 人や他の動物を怖がったり攻撃的にならないように慣らしておく
- 狂犬病予防接種を始めとする、各種ワクチンの接種、寄生虫の予防&駆除、不妊去勢措置を行う
- シャンプーやトリミングにより身体を清潔に保つ
- マイクロチップ・首輪・迷子札の装着をしておく
防災グッズ&持ち物編
- 食事:療法食、薬、ペットフード、水(少なくとも5日分)
- 首輪、リード、キャリーバッグ、ケージ
- ペットシーツ
- 排泄物の処理用具、トイレ用品(猫の場合は使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部)
- 携行できるペット情報(治療記録、ワクチン接種歴など)
事前に確認編
- 避難所や避難ルートの確認などの準備
- 避難所以外の避難先やペットの預け先の確保
- 地域の自治体のペット同行避難の対応を確認
- 飼い主同士の共助のためのコミュニケーションと良好な関係の構築(留守時の対応等)
- 避難訓練への参加と家族単位の避難訓練(シミュレーション)の実施
その他
- 住まいや飼養場所の防災対策(家具や飼育ケージの固定、転落防止等)
まとめ
今回は、ペットや飼い主の防災対策についてまとめてみました。
意外と健康やしつけ等、日常における適切な飼育が災害対策においても大切です。
しかし、いくら準備しても災害が実際に起こったら、飼い主が自らの安全を確保しなくては、ペットの命も助かりません。
落ち着いて行動ができるように、日々の準備や確認が飼い主もペットも助かる最善の道かもしれませんね。
参考文献
環境省:人とペットの災害対策ガイドライン ボランティアの活動と規範(令和2年3月)
環境省:人とペットの災害対策ガイドライン(平成30年3月)
環境省:災害、あなたとペットは大丈夫?(平成30年9月)
環境省:マイクロチップはペットとあなたを結ぶ絆です(平成26年12月)